妹のスエコが糖尿病を患ったのは、まだ20代の頃のことでした。
当時から彼女は、お菓子の徳用大袋を手放せず、気がつけばずっと食べ続けていました。
もともとは40キロ台だった体重が、あっという間に100キロを超えてしまっていました。
そしてある日、「糖尿病になった」と告げられました。
スエコは精神科の薬を服用していて、その副作用で体重が増えやすく、異常なほどお腹が空いてしまうと話していました。
お菓子を取り上げても夢遊病者のように、うつろな目でお菓子を探してしまい、言い争いにもなったので、「好きなだけ食べたらいい。無理して我慢しなくてもいいよ」と、当時の私はそう思うこともありました。若くしてそんな病気になった妹が、ただただ可哀そうで。
けれど――
心を落ち着かせる薬を飲んでいるからといって、糖尿病の管理を完全に手放していいわけではありません。
スエコの体は、目に見えて「普通」ではなくなっていきました。おしっこのあとに泡が立ち、目は充血し、水をがぶ飲みしている姿…。誰が見ても、健康状態は深刻でした。
でも、どんなに心配しても、何を伝えても、彼女にはなかなか届かない。
昔はあんなに活発で、無邪気に笑っていた妹。
その姿を思い出すたびに、当時の妹を見るのが辛くなりました。
糖尿病も、心の病気も、一人ではなかなか乗り越えられないものです。
だからこそ、家族や周囲の支え、そして医療の専門家たちとの連携がとても大切になります。
スエコのように、精神的なケアと身体のケアが複雑に絡み合っている人は少なくありません。だからこそ、誰か一人の理解が大きな力になると、思います。
現在、入院中のスエコですが、病院のスタッフさんたちの強いサポートにより、糖尿病は良くなりました。一時は血液検査のヘモグロビンa1c値が10を超えていたものの、現在は正常値5.8まで下がっています。